金融市場の混乱を受けて、想定されていた米国の継続的な利上げが中断、或いは終了さえするのではないかとの見方が広がっています。実際にどうなるかは市況や経済の状況をもう少し見てみないとわかりませんが、ここまでの利上げで、米国は既に先進国の中では一番高金利な国となりました。
先進国の中で、米国が一番高金利
G7にオートラリアとニュージーランドを加えた9か国の中で、米国の政策金利が現在最も高くなっています。これは2000年以降初めてのことです。一般的に、先進国の中で「高金利通貨」というと豪ドルやNZドルを思い浮かべることが多いと思いますが、現在では米ドルこそが高金利通貨なのです。個人の資産運用において、この米国の高金利をどのように考えればいいのでしょうか?
為替の強さも米国が一番
もし米ドルをもともと持っているなら、それを預金やMMFなどといったもので運用するには有利な状況です。一方まだ米ドルを持っていない場合は、高金利に惹かれる前に、為替水準について考える必要があります。為替水準の考え方については改めて書きたいと思いますが、今年に入ってから一時ドル円が104円台を付けるなど、為替市場はかなり波乱の幕開けとなっています。3%程度の金利差など、為替の動きで一気に吹き飛ぶ可能性があるのです。
むしろここからは、日米の短期金利の格差が広がったことで、対ドルでの円の為替ヘッジコストが上昇したことに目を向ける必要があると思います。
為替ヘッジ付き投信を持っている場合は点検のタイミング
米ドル建ての商品で運用されている投資信託などには、為替ヘッジがついているものがあります。為替ヘッジとは、為替の影響を最小限にすることを言いますが、これにはコストがかかります。簡単に言うと、為替のヘッジコストは両通貨間の短期金利の格差を基本に決まります。米国では2015年末から計9回の利上げによって政策金利が2.25~2.50%まで上昇した一方、日本はマイナス金利を継続しています。これだけでも2.5%程度のヘッジコストが生じる計算となります。しかし実際のヘッジコストは需給要因にも左右され、昨年末時点では3%近くとなっていました。需給要因は変化するので、その部分でかさ上げされたヘッジコストはまた低下するかもしれません。しかし、米国が今後利下げしたり、或いは日本が利上げに踏み切らない限り、3%近いヘッジコストは今後も継続してかかり続けるのです。
米ドル建ての商品で運用されている投資信託などには、為替ヘッジがついているものがあります。為替ヘッジとは、為替の影響を最小限にすることを言いますが、これにはコストがかかります。簡単に言うと、為替のヘッジコストは両通貨間の短期金利の格差を基本に決まります。米国では2015年末から計9回の利上げによって政策金利が2.25~2.50%まで上昇した一方、日本はマイナス金利を継続しています。これだけでも2.5%程度のヘッジコストが生じる計算となります。しかし実際のヘッジコストは需給要因にも左右され、昨年末時点では3%近くとなっていました。需給要因は変化するので、その部分でかさ上げされたヘッジコストはまた低下するかもしれません。しかし、米国が今後利下げしたり、或いは日本が利上げに踏み切らない限り、3%近いヘッジコストは今後も継続してかかり続けるのです。
為替リスクを敬遠して、投資信託の為替ヘッジ付きコースを選択して保有している場合は、ここで一度、その投信の運用状況を再確認してみるのが良いかもしれません。米ドル建ての債券やバンクローンなどで運用するタイプの投信であれば、直近の月次レポートなどで、保有証券の平均利回りなどを確認してみましょう。その平均利回りからヘッジコスト(今なら約3%)を引き、さらに運用管理費用(信託報酬)を差し引いたものが、手元に残ると期待できる分です。これが納得できない水準なら、保有を続けるかどうか検討したほうが良いと言えます。
基本的には投信を余り頻繁に売買するのはお勧めできません。しかし、市場環境が大きく変わったタイミングでは、やはり点検とファインチューニングは重要だと思います。
(この記事は、2018年12月27日にファイナンシャルフィールドに掲載された記事の概要をアップデートしたものです。全文はこちらをご覧ください。)
(この記事は、2018年12月27日にファイナンシャルフィールドに掲載された記事の概要をアップデートしたものです。全文はこちらをご覧ください。)
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