預け先


地方銀行の経営悪化が深刻です。
低金利が長引いて利ざやが稼げないうえ、その苦境を埋めるために力を入れていた外貨証券運用でも多くが損失を出す結果となっています。
金融庁が2018年9月に発表した金融リポートによれば、全地銀の約半数が2018年3月期までに2期以上の赤字となったとされます。その後の2018年4-9月期決算でも、上場地銀80社のうち49社において、実質業務純益が減益または赤字となりました。しかもそうした銀行の数は、年々増えている状況です。

スルガ銀行が不動産融資にからむ不正で土壇場に追い込まれていますが、背景には普通にしていては地方銀行が稼げない市場環境が存在しています。不正とまではいかなくても、切羽詰まっている地方銀行は他にも多くあると見られます。

「廃業という選択肢もある」として、中小の経営難の銀行への対応を金融庁が模索しているという1月14日付の日本経済新聞の記事は、まさに現在が非常事態に近いことを感じさせました。


そうした中、今後の万が一の銀行破綻のシナリオに備え、預金保険制度の内容を確認しておくことも無駄ではないと思われます。それについてまとめたものを、ファイナンシャル・フィールドに掲載しております。宜しければ、こちらでご確認ください。


同じ金融グループに属している銀行でも、預金保険制度では個別に扱われるが・・・

その記事の中では触れませんでしたが、 現在では銀行持ち株会社の下に複数の銀行がぶら下がっている祖組織形態も少なくありません。
例えば、りそなホールディングスの下には、りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行、奈良銀行、りそな信託銀行が存在します。預金保険制度の下では、これら5つの銀行はそれぞれが別の銀行として扱われます。つまり、5つそれぞれの銀行において、元本1000万円とその利息等が保護されることになります。

ただし、同じグループに属する銀行であれば、経営方針やリスク管理方針、危機管理体制などについては共有していると考えるのが自然だと思われます。ある銀行が破たんした場合、もし同じ持ち株会社の下に別の銀行があるなら、自衛策としてはその銀行についても警戒するべきでしょう。


預金保険制度の払い出しには時間がかかる可能性にも配慮して、預金の預け先も分散を

預金保険制度での預金保護の仕方には、「保険支払い方式」と「資金援助方式」があります。
どちらも保護される預金の対象は同じですが、手続きの方法が異なるため、預金者への支払いまでの時間については違いが出る可能性があります。
ただ、どちらの方式となるかは預金者が選べるわけではありません。どれ位の時間がかかるかは当初は明らかにならない場合も少なくないと思われ、生活費に使うようなお金であれば、やはり破たんする可能性の低い銀行に預けておくことが大切となります。

因みに、支払までに時間がかかることがはっきりした場合には、預金者の普通預金(元本のみ)について、1口座につ き60万円を上限として仮払金が支払われることがあります。仮払金の支払いの有無の決定は、銀行の破たんなどの発生から1週間以内に決定されます。この仮払金は、預金者の当面の生活を保障するためのものです。



銀行の破たんは社会への影響が甚大となるため、金融庁もなるべくそれを避けるように対応をするものと考えられます。
しかし、経営陣の不正や明らかな経営ミスなどによっては、万が一が起こることは想定しておくべき時代となってきたようです。必然性がない場合は、預金の預け先についても「リスク分散」を図っておくことが賢明と考えます。


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