ハンバーガー


足元では多少の膠着感が漂い、それが逆に不気味に思える為替相場。
英国の合意なき離脱や日米FTA交渉のスタート、米国政府の利下げ圧力強化など、いったん動き出すと相場に大きなうねりを起こしかねない材料は多いため、なおさら居心地悪く感じます。
それでも為替相場が動いていないのは、こうした様々なファクターが重なり合うと、最終的にどのような影響が出るのかマーケットが測りかねているのかもしれません。

実際、中長期的な為替相場の行方を占うのは難しく、専門家と言われる人たちですら予想を外すことが多くあります。個人投資家にとってはなおさらに思われます。

しかし、個人投資家にも利用できる為替の判断基準があります。
それは肌感覚の割高感・割安感です。


(これに関するより詳細な記事を、ファイナンシャル・フィールドに掲載しております。
よろしければ、こちらをご覧ください。)

最近、欧米に旅行されたことがある人なら、現地での外食費の高さに驚かれたと思います。
でももしかしたらそれは、円に換算して考えたときの為替レートのせいだったかもしれません。

「ビッグマック指数」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?
世界中に展開しているマクドナルドのビッグマックの価格を国別に比較することによって、適正な(?)為替レートを算出しているものです。英エコノミスト誌が年に2回発表しています。
そして2018年7月の調査では、日米でビッグマック価格が同じになる為替レートは70.78円という結果でした。それと比較すると、現在111円台であるドル円相場は、かなり円安(円が割安)に触れていると言えます。

こちらの記事内では、他にも日米間のディズニーランド料金や最低賃金の差を取り上げました。
どちらも、今のドル円レートで考えると日本のほうが価格が低かったのですが、それだけで円がドルに対して割安であると断じるのはもちろん乱暴です。
そこで、さらに広範な商品やサービスの価格を調べて算出される「購買力平価」を見てみます。
経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)が発表しているものでは、同記事執筆時点で、IMFでは98.25円、OECDでは102.47円でした。その為替レートでなら、全体として、同じようなものが同じ価格で、日本でも米国でも買えるという参考値になります。
これら購買力平価でも、現在の円が割高であることを示唆しているのです。


先に述べたように、為替レートは様々なファクターの複合的な影響で決まっていくため、これからすぐに相場が購買力平価に近づいていくとは言い切れません。
しかし、片方の通貨が長きにわたって割安であり続けると考えるのもやはり適当とは思えません。


もし、円の割安感を肌身に感じることが多いなら、中長期的には円高方向を警戒していくことも必要かと思われます。


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