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仮想通貨に関するニュースが増え、認知度もかなり高まってきました。

この仮想通貨、しばしばデジタルゴールドとも呼ばれ、金と似た利点があるとも言われます。


それは一体どういうことなのでしょうか?

そして、今後実際金に替わるような存在になるのでしょうか?(或いは、もうなっているのでしょうか?)


仮想通貨の魅力

まず、これほどの人気を集めている仮想通貨の魅力を再確認します。

ひとつは、何より強い値上がり期待ですが、さらに本質的には以下の特徴が挙げられると思います。

 特定の国の管理下にない  どの国の金融政策、財政、政治及び外交の異変によっても、基本的に影響を受けない

 匿名性が高い  別に悪事を働くわけではなくても、資産をつまびらかにしたくない人も多い

 国境を超える  その仮想通貨の価値を信じる者同士では、両替の必要なく、取引ができる

他にも送金手数料が安いなどのメリットもあると思いますが、上にあげた特徴については、実は「金」にもそのまま当てはまるものです。



金にあてはめると・・・

 特定の国の管理下になく、特定の国の状況にも影響を受けない。むしろ世界で有事の時ほど価格上昇しやすく、資産保全に役立つ

 日本の場合、購入履歴が税務署に補足されない。このため自宅で保管しておけば、現金のように誰にも分からない(但し、平成23年度の税制改正で、金地金・プラチナ地金などの売却額が1日に200万円を超える場合には、販売業者が「支払調書」を税務署に提出しなければならなくなりました)

 どの通貨で評価するかを別とすれば、金の価値を信じる者同士では、その価値は国境を越えて存在する

こうしてみると、仮想通貨がデジタルゴールドと言われる意味も納得できます。

 

「有事の金」から、今は「有事の仮想通貨」?

従来は、世界で経済的、地政学的問題が起こったときには、金が安全資産として買われてきました。

しかし上記の共通点から考えると、世界の有事には今や仮想通が買われても不思議ではありません。

実際、今年何度も繰り返されている北朝鮮の挑発に対して、金価格の上昇は穏やかすぎるとの見方があります。

ビットコインやその他の仮想通貨の同時期の上昇の勢いを見ると、逃避資金は仮想通貨の方により流れ込んだとする意見も聞かれます。

ただ、ビットコインらは北朝鮮のミサイル実験にかかわらず激しい値動きを続けています。仮想通貨に逃避資金が一部流れ込んだのも事実だとは思いますが、その価格のブレの大きさを見れば安全資産とはとても言い難く、「有事の仮想通貨」と言い切るには、まだ早そうです。

 

外貨準備として買われる金

ここに一つ興味深いデータがあります。

金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシルによると、中央銀行の金の保有量は、2016年まで7年連続で増加しているそうです。

1990年代半ばには欧州の中央銀行が大量の金を売却していましたが、その動きもほぼ完了したようで、2010年以降は世界全体でみると中央銀行は買い越しとなっています。特に、中国やロシア、トルコなどといった新興国の買いが大きく伸びています。

この背景には、新興国の成長に伴い外貨準備高そのものが増えたこと、また米ドル偏重だった外貨準備高の資産内容を見直したことなどがあったと思われます。

個人的には、米国がトランプ大統領の下で場当たり的な政治を行い、EUも移民問題やBREXITで足元がふらつく中、こうした新興国中心の金需要は引き続き高止まりするだろうと考えています。

まさに、国の有事のために備える外貨準備。この役割を担える仮想通貨は、まだ存在しません。

 

金塊



他にも金の方が優れている点

他にも、仮想通貨よりも金の方が優れている点があります。

金には工業用としての需要もあります。一方、ビットコインで入れ歯を作ることはできません。

金は美しい宝飾品になって自尊心をくすぐってくれますが、ビットコインを首からかけることはできません。

金のずっしりとした重みは快感ですが、ビットコインは実体がありません。

何より、ビットコインには金のような長く価値を持ち続けてきた歴史がまだありません。

 

まだ当面、資産保全には金

ここまでかなり金の肩を持った書き方をしてしまいましたが、私も仮想通貨を最初から否定するものではありませんし、むしろ、今後の一層の可能性には大いに注目しています。

ただ、「安全」「資産保全」という観点で見た場合には、金の方に当面軍配が上がるだろうと考えている、ということなのです。

 

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