ということで、米ドルを買ってみようと考えた方。
でも、その米ドルをどうやって運用したらいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
いきなり外国株というのもハードルが高いし、やはり最も身近な外貨運用といえば外貨預金でしょうか。
でも実は、外国債券というものもあるのです。
ここでは、外貨預金と外国債券(外債)のメリット・デメリットを徹底比較してみます。
そもそも外国債券とは?
一口に外国債券といっても、様々な種類のものが存在します。
その中で、最も発行額が多く、かつ代表的なものといえば、米国政府が発行する国債、米国債です。様々な満期(債券では償還と言います)のものが発行されていますが、償還までの期間によって、それぞれ異なる利回りとなっています。
償還までの間、決まった利息が毎年支払われ(*1)、償還日には元本が投資家に返済されます。ある意味、定期預金と非常に似た仕組みといえます。
定期預金の金利と同様、外債の利回りも、その時の市場環境によって変動します。
投資家は、自分に最適な期間と利回りのバランスを持つ米国債を選択して購入、運用することとなります。
米国債以外にも、様々な国や企業が債券を発行しており、発行体(つまり、債券の投資家がお金を預ける相手)の信用力によって同じ償還日でも利回りが異なっています。
一般的に発行体の信用力が劣ると利回りが高くなり、ほとんどの場合同じ償還日なら米国債より高い利回りとなっています。
また、ドルだけでなく、様々な通貨建ての外債も存在しています。
利回りはどっちがお得?
外貨預金は一般的に1年以内の短いものがほとんどです。
米ドル建てなら今は金利も低く、メガバンクの場合、1年物でも0.5~0.6%程度です(1月29日現在)。
一方、外債の満期はそれよりも長いものが一般的です。例えば、某メガバンク系列の証券会社が売り出している2024年5月償還の米国債の利回りは、現在2.4%程度(1月29日現在)。米国債以外の債券なら、更に高い利回りを得られます。すぐに使うお金ではないなら、現在の状況では、外債の方がずっとお得に運用することができます。
換金性はどっちが優れているの?
外貨預金はいつでも解約できますし、外債も基本的にはいつでも売却によって換金することができます。
しかし、外貨預金はドルベースでは元本がそのまま戻ってくるのに対し、外債を償還前に途中売却すると、その時の時価でしかお金は戻ってきません。
時価が買った時の価格より下がっていれば、損をすることになってしまいます。
つまり、為替で儲かりそうだから償還前に売却しようと思っても、時価によっては売らない方が良いケースもあるのです。
例えば、為替が100円の時に換えたドルが110円になったとしても、その時に外債の時価が15%下がっていたら、トータルでは売却すると円ベースで損をしてしまいます。
外債は、基本的には償還まで持つことを前提に考えた方が良いとも言えます。
このように、換金性では外貨預金の方が優れていると言えそうです。
どこで買えるの?
外貨預金は大概の銀行で作ることができますが、証券会社では扱っていません。
一方、外債は銀行でも取り扱っているところがありますが、証券会社の方が品揃えは多いと思われます。
また銀行によって外貨預金の金利が異なる場合があるように、外債も、同じ銘柄であっても金融機関によって利回りが異なることがあります。
安全なのはどっち?
外貨預金は預けている銀行がつぶれてしまえば、お金は戻ってきません(外貨預金は、預金保険の対象外です)。
同じように、外債の場合でも発行体がつぶれればお金は返ってきません。
つまり、どちらも信用できる銀行/発行体を選ぶことが重要であり、どちらがより安全であると決めつけることはできません。
で、結局どっち?
利回りを重視するのか、それとも換金性を重視するのかによって、答えは変わってきそうです。
近々使うお金とそうではないお金に分けて、両方で運用することも有効でしょう。
ただ外債の場合、銘柄や取り扱う金融機関によって最低投資金額が設定されていますので、ある程度まとまった金額でないと購入できないこともあります。
検討の際にはそれも確認してください。
また、ここでは米国債を例にとりましたが、銀行や証券会社で扱っている外債には仕組債と呼ばれる独特の特性(リスク)を備えているものも多くあります。
それらについては、利率の高さだけに目を奪われず、リスクとリターンについてしっかり説明を受けたうえで、自分の投資目的と合致しているか検討してほしいと思います。
(*1) ここでは、固定利付債のタイプのものについて説明しています。