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ドイツで驚きの急展開です。

昨年9月の連邦議会選挙から4か月以上もかけた協議の結果、先週やっとメルケル首相率いる保守陣営(CDU・CSU)と第2党である社会民主党(SPD)との間で、連立政権樹立が大筋合意されました。
BREXITや加盟各国でのポピュリズム台頭に苦しむEUにとってドイツの安定は命綱であり、そこでの政治空白がやっと埋まることにマーケットも安堵しました。

が、それもつかの間、新政権の外相にも決まっていたSPD党首であるシュルツ氏が、13日に引責辞任することになったのです。

 背景には、SPDの存在感低下に対する党員の危機感や、世代交代を求める若手議員の反発があります。
そこに、同党幹部が与党との連立を何度も否定しておきながら、結果的に閣僚入りという餌につられ(たかのように)連立政権樹立に動いたことで、地方組織の不満が爆発したようです。

もともとこの連立政権樹立の最終条件は、2月20日から3月2日にかけて行われる、SPDの一般党員(46万4千人)による投票で承認されることでした。
しかし今回の事態を見ても分かる通り、3月4日にも判明するこの投票の結果は、ますます見通せなくなりました。
投票で連立政権樹立が否定されれば、少数与党で不安定な政権を築くか、再度選挙をやり直すことになりそうです。
しかしいずれの場合でも、ドイツ政治が更に長らく不安定な状態で停滞することになります。


そしてこの3月4日という日ですが、実はイタリアでも総選挙があるのです。

ここでは3陣営による戦いとなっていますが、今のところ、どこも過半数はとれないと見られています。
そして実際にそうなれば、ここでも選挙後の連立交渉が今後の鍵を握ります。
現在のところ、単独政党としてはEU離脱なども訴えていた大衆迎合政党「五つ星運動」がトップを走っています。
同党はこれまで他党との連立を否定していましたが、ここにきて他党との協力も示唆し始めており、政権に入った場合の影響が懸念されています。


奇しくも同じ日に欧州では2つの注目すべき選挙の投開票が行われるわけですが、マーケット的にはどんな影響が考えられるでしょうか?

やはり短期的には、最近の高値圏にあるユーロの動きに注意が必要かと思われます。

ECBが量的緩和の縮小に動き出したことで進んできたユーロ高ですが、IMMの投機ポジションを見ても、ユーロ・ロング(ユーロの対ドルでの買い持ち)が足元でまだ相当たまっていることが見て取れます。
(IMMポジションというのは、シカゴ・マーカンタイル取引所に上場している国際通貨先物の建玉のことです。通貨ごとに、商業ポジションと投機ポジションに分けて発表されており、特に投機ポジションの大きさや偏りはマーケットのセンチメントを図る材料の一つとして注目されています。)

こうしたユーロ・ロングの一部が、選挙リスクを嫌って、ユーロ売り/ドル買い戻しにつながる可能性には留意したいところです。

また、ドル/円も現在、106円台半ばという1年3か月ぶりの高値水準にあります。
上記に述べたようなユーロ売りが起った場合、その余波で、対円でもドルの買い戻しが進む可能性は意識されます。
ただ一方、対ドルでは円高に見えますが、実効為替レート(主要通貨との各為替レートを、貿易額等に応じて加重平均し、算出したもの)で見ると、円は長期平均から見てまだ割安だとの指摘もあります。
マーケット心理的にも、今のような中途半端な水準ではなく、105円を試すかどうか、またそれをホールドするかどうか確認したい気分が強まっている気がします。


円高の修正か、それとも円の独歩高か?
バウム・クーヘンの日でもある3月4日の投開票結果は、為替市場の先行きを見通す材料を示してくれるのでしょうか。
注目されます。
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