米国と中国


トランプ大統領が中国に対し、あからさまな貿易戦争を仕掛けています。

11月の中間選挙を意識した行動であると見られ、米中間、或いはグローバルに絡み合う交易関係をきちんと理解したうえでの政策だとは決して思われません。貿易戦争となれば米国にとっても失うものは非常に大きいはずですが、トランプ氏はツイッターで「Trade wars are good, easy to win(貿易戦争はいいことだ。勝つのは簡単だ。」などと、うそぶいています。しかし、もし中国が報復関税などではなく、米国債の売りという形で対抗してきても、強気を装っていられるのでしょうか?


(この記事は、3月24日付のZuu online に掲載されたものの抜粋です。全文はこちらをご覧ください。)



米国の国債市場は、現在大きな変化を迎えています。
昨年まで大口の買い手だったFRBやアップル等のグローバル企業が、現在は売り手側に回ったのです。
これによって需給バランスが崩れる公算が高まっている中で、昨年末に大型減税が決まりました。米国の財政赤字が今後10年間で1兆ドルも拡大する見通しとなり、今年だけでも米国債の発行額は倍増する見込みです。米国債市場は、より買い手に配慮しないといけなくなったと言えるのです。また足元では、ドルペッグ制をとっている香港ドルが取引レンジの下限まで売り込まれており、レンジを割り込むような局面では香港当局がドル売りによって介入することが予想されます。介入に使われるドルは、香港が保有する米国債の売りによって捻出されます。香港だけでなく、今後米国金利が大きく上昇する過程で新興国から資金が流出するようなことがあれば、他にもドル売り(米国債売り)に動く国が出てくるでしょう。その場合、需給は更に米国債にとって悪い方に傾きかねないのです。

景気サイクルの後盤に差し掛かってきたとみられる米国経済にとって、必要以上の金利上昇は大きなダメージとなることは間違いありません。近視眼的かつ不用意な保護主義を振りかざしている余裕は、員の米国債市場にはないと考えます。

(この記事は、3月24日付のZuu online に掲載されたものの抜粋です。全文はこちらをご覧ください。)

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