ねこと百万円


"Where to Invest $10,000 Right Now?
というブルンバーグ記事を基に、今年の1月末にコメントを書きました。

この記事は、1万ドルという余裕資金があればどこに投資するかという質問に対する5人の金融専門家の回答をまとめたものです。ブルンバーグでは今月も同じテーマで5人の専門家の「今の」意見を記事にしていましたので、簡単に紹介してみたいと思います。


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月当時はというと、「FOMO相場」(”Fear Of Missing Out”・・・乗り遅れるという恐怖感が買いを促し、上昇する相場)や、「メルトアップ」(目立った理由もないのに劇的に上昇すること)といった言葉がもてはやされていました。そこから3か月余り。今では逆に、「Fear Of Getting Caught(下げ相場につかまる恐怖)といった言葉のほうが多く聞こえてきそうな状況です。そんな中、米国の専門家は何を買うべきだと考えているのでしょうか?前回も書きましたが、基本的に米国株を既にたくさん保有している米国家計を想定したアドバイスのように思われますので、その点にはご留意ください。

 

 

1人目

 

配当利回りの高い株を買う。配当が出ていれば、下げ相場に突入しても少しは気持ちを楽にしていられるからだ。テレコム・セクターは若干退屈な業種と見られて人気も高くなかったが、人々が絶対に必要とするサービスを提供している。そして配当利回りが高いものも多い。より枕を高くして寝るために、選ぶ企業は債務が少なく(或いは無く)、スケールメリットのある大手企業が良いだろう。

 

 

2人目

 

強気相場も10年目に入り、割安感を残す資産クラスは多くない。そんな中で、新興国の株式はまだバリュエーションが低い。世界経済は足元でしっかりしており、先進国の株式に比べて割安感があるため魅力があると言えるだろう。もちろんリスクもある。景気が減速したり、米国の利上げが想定以上となってドル高につながれば、新興国の株式はダメージを受けるだろう。しかし景気が堅調な間は、割安感が残る非常に希少な資産クラスだ。

 

 

3人目

 

2月以降の波乱相場を一時的なものと見る向きもあるが、ここからは上値では株式を売り、より安全な低リスクの資産に乗り換えるべきだろう。これは、世界経済が減速し始めたと見られるためだ。世界の経済指標は最近、事前の市場予想を下回る傾向が見られ始めている。しかしそれにもかかわらず、主要国の中央銀行は利上げや量的緩和の縮小にまい進している。景気減速と金融引締めの組み合わせは、債務の大きい国や企業―カナダやオーストラリア、スウェーデン、またはハイイールド債の発行体―にとっては打撃となるだろう。そうした中で投資すべきは債券だ。先進国の中では特に米国債をお勧めしたい。また景気が減速する中では金が注目されがちだが、銀は去年、金を17%アンダーパフォームしている。過去5年では50%もアンダーパフォームしており、景況感が悪化すれば銀の方が上値余地が大きいと見られる。

 

 

4人目

 

今後はインフレと、それに伴う債券利回りの上昇が見込まれる。株式にとっても債券にとっても苦しい時期となりそうだ。債券の保有は最低限に抑え、株式ではインフレの時にアウトパフォームするセクター(素材、エネルギー、資本財)とディフェンシブ・セクター(電力、テレコム、生活必需品)の両セクターを保有するべきだろう。またキャッシュにもやっと利回りが付き始めた。若干は預金やMMFなどに振り替えてもいいだろう。さらに、インフレ時には値上がりが期待できるコモディティ(商品)へ、ETFなどを通じて投資するのも良いと思われる。最後に、実力のあるヘッジファンドへ少額投資しておくことも一考に値する。どのような相場環境でも一桁台半ば程度のリターンを安定的にあげることを目指すようなヘッジファンドは、不安定な相場環境においては非常に魅力的だ。

 

 

5人目

 

まずは自分の現在のポートフォリオを見直してみよう。当初自分が目指した資産配分やリスク許容度と、今のポートフォリオの内容に乖離はないだろうか?もし乖離があるようなら、1万ドルはその修正に使うのが良いだろう。例えば、株のウェイトが当初目標より高まってきているなら、債券を買い増そう。一方、市場の先行きに不安を感じているなら、いったんキャッシュに置いておいてもよい。そこから積立投信のようにコンスタントに少額ずつ投資に回すこともできる。金利は今後数年にわたって上昇すると予想できるので、MMFのように使い勝手のよい商品で利回りを稼ぐのも良いだろう。

 


さて参考になる意見はあったでしょうか?

 

もし私が100万円持っていたら何に投資するかは、1月にコメントを書いた時から基本的に変わっていません。

 

インフレのコントロールは非常に難しいと考えているので、日欧米が都合よく2%でとどめられず、それ以上に上昇するリスクを懸念しています。そのため金を買いたいと考えていますが、今回の3人目の意見を聞き、銀も検討対象に加えたいと思います。

 

また異常気象や地政学的リスクから、世界的な食料品の価格上昇リスクも高まっていると考えています。このため、穀物などの食品コモディティで運用するETFや農業国の通貨などに投資します。

 

最後に、今買いたくないものとしては、個人的には先進国株式のインデックスファンドです。全ての銘柄が一緒くたに上昇する相場は終わったように思われ、ここからは選別が重要となりそうです。4人目がお勧めするヘッジファンドのように、少しでも良い銘柄、少しでも救いのあるアセットクラスに柔軟に移し替えていけるような形が、少なくとも必要だろうと考えています。

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