最近の貿易問題を巡る米中の互角の応酬を見ていると、中国がいかに強大になったかを感じさせられます。GDPの規模では米国に迫り、今やどの国も経済的には中国を無視することはできません。しかし一方で、その特異な政治体制や様々な規制などから、中国の証券市場は世界の機関投資家にとっては敬遠されがちなマーケットでした。それが今、大きく変わろうとしています。
6月1日から中国株がグローバル株式指数に組み入れスタート
もうすぐ、MSCI新興国株指数に中国株が組み入れられます。MSCIが集計・発表する株価指数は世界中の運用者が参照しており、その新興国株指数についても1.6兆ドルもの資金がベンチマークとしています。当初の組み入れ比率はわずかなものですが、新興国株指数に忠実に追随する海外のファンドにとっては中国株は「買わなくてはいけない」投資対象になることを意味します。異質な国、或いは市場として見られがちだったところからの、大きな変化です。
(この記事は、5月27日付のZuu online に掲載されたものの抜粋です。全文はこちらをご覧ください。)
リスク中国の債券もグローバル債券指数に組み入れられる方向
株式だけではありません。人民元建ての中国国内債についても、4月にブルムバーグ・バークレーズ・グローバル総合インデックスに採用されることが発表になりました。いくつかの更なる市場の改善が条件として挙げられてはいるものの、2019年4月より20か月かけ、段階的に3兆億ドル弱相当の中国国内債が同インデックスに組み入れられる予定です。こちらも指数に占める比率は当初は限定的ですが、グローバルな投資家にとって「マスト」な投資対象になろうとしていることは大きな意味があります。
リスクはあっても、分散投資の上では必要な投資先
ただもちろん、中国の経済や市場には投資家にとって心配な問題が様々存在しています。例えば、米国と貿易戦争が勃発しかねない現在の状況は、進展次第で株価に大きく影響を与えます。また債券市場でも、今後デフォルト(債務不履行)が大幅に増える見通しです。
しかし、問題を抱えるのは中国だけではありません。予測不能な大統領を抱える米国や、域内の経済格差に対応しきれないユーロ圏、膨大な財政赤字に打つ手のない日本、米国の利上げに自国通貨が揺さぶられている新興国など、結局どこを見ても投資家にとってリスクは存在します。中国市場に大きなリスクがあったとしても、リスク分散の観点からは中国は投資対象として必要だという流れは変わらないと思います。むしろ、投資家は痛い目を見ながらも、中国市場への投資を増やしていく可能性が高そうです。
(この記事は、5月27日付のZuu online に掲載されたものの抜粋です。全文はこちらをご覧ください。)